現状、世界の排出削減ペースがその削減目標に全く追いついていません。平均気温の上昇を1.5℃に抑えるためには温室効果ガスを大幅に削減し、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることに加えて、メタンガス等の排出も大幅に削減する必要があります。一方世界各国で実施されている政策は、必要な排出削減に程遠い水準です。現状の政策だけでは温室効果ガスの排出を一定に保つ程度です。ただし、各国は削減目標を掲げていますので、まだ実施されていない政策が実行され目標を達成した場合にはベストケースとしてなんとか気温上昇を2℃に抑えることができるかもしれません。しかし気温上昇を1.5℃に抑えるまでの目処は立っていません。また、各国の削減目標の達成も予断を許しません。たとえば現在米国は民主党政権ですが、仮に次の選挙で共和党政権となれば従来の気候変動政策が翻るリスクをはらんでいます。