デジタルグリッドコラム

企業の脱炭素や電力取引にまつわる最新情報を、デジタルグリッドがお届けします。

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世界的に不足する「脱炭素人材」とその育成の取り組み - 米国・英国を事例に

世界的に不足する「脱炭素人材」とその育成の取り組み - 米国・英国を事例に

 日本を含む世界125カ国(2021年時点)がカーボンニュートラル2050の実現に向けて、様々な政策パッケージを策定する動きを進めている[1]。日本もグリーン成長戦略を策定し、グリーンイノベーション(GI)基金2兆円の拠出し、また2023年2月にGX実現に向けた基本方針が閣議決定[2]し、今後10年間で、20兆円のGX移行債の発行を含む、150兆円の官民GX投資を実現する旨が表明された。さらに、566社(2023年6月時点)のGX(グリーントランスフォーメーション)企業が参画する、産官学と協働する場としてのGXリーグを設立するなど、矢継ぎ早に脱炭素化施策を展開している。

一方で、日本の政策と欧米の同様の政策を比較すると、大きく異なる点が見受けられる。それは、カーボンニュートラルの実現を担う人材の不足に対する危機意識と、その具体的な対策案の有無である。

そこで、本稿では脱炭素化の実現を推進する人材、すなわち「脱炭素人材」の現状と育成施策について、米国・英国の事例を参照しつつ、日本の脱炭素人材の育成への示唆を講じたい。

東証カーボン・クレジット市場の取引報告

東証カーボン・クレジット市場の取引報告

10月11日から開始されたカーボン・クレジット市場に参加し取引を行ってみましたので、その様子や現在までの状況概況を報告します。
ひとまずの印象としては、取引システムが透明性に欠けるなど少々課題があると感じましたので、その理由を説明してまいります。

【10月11日から】東証カーボンクレジット市場で取引開始

【10月11日から】東証カーボンクレジット市場で取引開始

昨年2022年度に試行的に実施された東証のカーボンクレジット市場が今年の10月11日より本格的に始動します。
今後、市場の取引状況について定期的にコメントをしてまいりますが、まずは昨年度も試行してたの?という方へ、その実績からご紹介しましょう。

企業がCO2排出量を算定する目的とは(第2回)

企業がCO2排出量を算定する目的とは(第2回)

「CO2の算定した後は?」

今春開催された、脱炭素をテーマにした展示会に説明員として参加していたときに、何度となく頂いたお悩みごとをきっかけに、前回では、算定の目的についてお話ししました。今回は、多大なコストと労力をかけて行った算定を、それで終わらせてしまってはもったいない。算定結果を含む「非財務情報」を積極的に開示することを通じて、ステークホルダーとコミュニケーションを図ってほしい、というお話をしたいと思います。

企業がCO2排出量を算定する目的とは(第1回)

企業がCO2排出量を算定する目的とは(第1回)

「CO2の算定ってどうやるんですか?」
今春開催された、脱炭素をテーマにした展示会に説明員として参加していたときに、何度となく頂いたお悩みごとです。二言目は、こう続きます。
「取引先から言われたんだけど、何から始めればよいか分からなかったので、とりあえず来たんです」

地球温暖化の真実と化石燃料からの卒業(第2回)

地球温暖化の真実と化石燃料からの卒業(第2回)
世界の二酸化炭素排出削減目標達成の現状と対策
 現状、世界の排出削減ペースがその削減目標に全く追いついていません。平均気温の上昇を1.5℃に抑えるためには温室効果ガスを大幅に削減し、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることに加えて、メタンガス等の排出も大幅に削減する必要があります。一方世界各国で実施されている政策は、必要な排出削減に程遠い水準です。現状の政策だけでは温室効果ガスの排出を一定に保つ程度です。ただし、各国は削減目標を掲げていますので、まだ実施されていない政策が実行され目標を達成した場合にはベストケースとしてなんとか気温上昇を2℃に抑えることができるかもしれません。しかし気温上昇を1.5℃に抑えるまでの目処は立っていません。また、各国の削減目標の達成も予断を許しません。たとえば現在米国は民主党政権ですが、仮に次の選挙で共和党政権となれば従来の気候変動政策が翻るリスクをはらんでいます。

地球温暖化の真実と化石燃料からの卒業(第1回)

地球温暖化の真実と化石燃料からの卒業(第1回)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)のレポート*を基に科学的知見から地球温暖化の真実、つまり温暖化の緊急性と、その対応策を企業経営に携わる全ての人に知っていただくことを目的としてこのブログをお届けします。
*IPCCのレポートとは2023年3月20日に発表された第六次評価書報告書AR6統合報告書です。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)サイクル | 地球環境・国際環境協力 | 環境省 (env.go.jp))

系統連系の手続きに関して(第2回)

系統連系の手続きに関して(第2回)

 このブログシリーズでは、第1回目の系統接続に続き第2回は再エネの出力制御の影響で売電できない事象について説明し発電者側で発生する費用や機会損失を理解することが目的です。

出力制御には、大きく分けて2種類あります。
1. 需要が発電量を下回るため再エネの出力を抑制するもの(一般的に、出力制御といわれるもの)
2. 送配電設備に流すことができない容量の発電量が発生しないために再エネの出力を抑制するもの。(N-1電制、ノンファーム)

系統連系の手続きに関して(第1回)

系統連系の手続きに関して(第1回)

 今回のブログでは、発電家がたどる系統接続の制度やプロセスを需要家が理解することによって、発電するまでに時間がかかることや発電者側で費用が発生することを2回に渡りお伝えします。第1回では、高圧以上の発電所を電力系統に接続する(系統接続)する場合、いくつかの手順があり最低でも電力申請に1年程度かかります。このような制度になっている理由と手続き期間について簡単に説明致します。第2回では、出力制御関係について説明をします。