デジタルグリッドコラム

企業の脱炭素や電力取引にまつわる最新情報を、デジタルグリッドがお届けします。

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インパクトファイナンスについて「第2回:取り巻く最新動向/今後の発展に向けて」

インパクトファイナンスについて「第2回:取り巻く最新動向/今後の発展に向けて」

(前回は、インパクトファイナンスについて「第1回:マーケットの変遷と注目される理由」 )

5.国内外での対応や最新動向――制度・市場・標準化の進化と現場課題

 ■ 国際動向:規制と現場での実装
 欧州連合(EU)は、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)、EUタクソノミー、SFDR(サステナブルファイナンス開示規則)などによって、社会・環境インパクトの厳格な開示義務化を先導してきました。CSRDによるダブルマテリアリティの導入により、企業・金融機関は財務・社会両面からの説明責任が強化されています。2024年には、現場負担の軽減を目的としたオムニバス法案(Omnibus Directive)が提案され、中小企業や一部非上場企業のCSRD段階的適用やガイダンス再整理、報告義務の緩和が議論されています。

インパクトファイナンスについて「第1回:マーケットの変遷と注目される理由」

インパクトファイナンスについて「第1回:マーケットの変遷と注目される理由」

1.インパクトファイナンスの 歴史的背景と発展の経緯

 インパクトファイナンスとは、投資や融資といった金融活動を通じて、社会や環境にもポジティブな成果(インパクト)をもたらすことを「意図し」、同時に財務的リターンも追求する、21世紀型の資本運用の考え方です。従来の社会的金融(寄付やCSR、フィランソロピー)とは一線を画し、「サステナビリティ」や「社会変革」を事業性と統合する点が最大の特徴です。

CCSについて「第2回: CCSの実証事業と各国の動向」

CCSについて「第2回: CCSの実証事業と各国の動向」

はじめに
 前回のコラム「第1回: CCS入門 – 技術と基本概念」では、CCS(二酸化炭素回収・貯留)の概念、仕組み、メリットと課題、そして地球温暖化対策における役割と期待について解説しました。CCSが、特に削減困難な産業からのCO₂排出を大幅に削減する可能性を秘めた技術である一方で、コストや安全性、社会的受容性など、本格的な普及には多くの課題が存在することをご理解いただけたかと思います。今回のコラムでは、それを踏まえ、内外におけるCCSの具体的なプロジェクトや将来展望などについて解説していきます。

CCSについて「第1回: CCS入門 – 技術と基本概念」

CCSについて「第1回: CCS入門 – 技術と基本概念」

はじめに
 地球温暖化対策として世界各国が2050年カーボンニュートラルの実現を目指す中、二酸化炭素(CO₂)排出量の大幅削減が急務となっています。再生可能エネルギーの導入拡大や省エネルギー技術の普及だけでは対応しきれない産業分野からのCO₂排出に対して、CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留)技術が注目を集めています。
 CCSは、工場や発電所などから排出されるCO₂を大気中に放出する前に回収し、地中深くに安全に貯留する技術です。この技術により、産業活動によって排出されるCO₂を大幅に削減でき、地球温暖化の抑止につながる取り組みとして大きな期待が寄せられています。
 本コラムでは、CCS技術の基本概念から仕組み、関連技術、そして各国の取り組み状況まで、2回に分けてCCSの全体像を分かりやすく解説いたします。

第1回: CCS入門 – 技術と基本概念
第2回:CCSの実証事業と各国の動向

サステナビリティと人類社会のガバナンス ~人類の幸福をかけた地球環境を巡る闘い~

サステナビリティと人類社会のガバナンス ~人類の幸福をかけた地球環境を巡る闘い~


 私たち人類社会が、地球システムの臨界点発動へひたすら突き進む人類存亡の危機を解決できない現実=人類社会のガバナンス不全を直視し、その突破口を探ります。サステナビリティ経営の本質と限界、政治と市場経済の関係、カーボン・プライシングなど環境負荷の内部化/価格付けについても掘り下げます。 

安くなった太陽光・風力・蓄電池を中心にしてこそ電力は安くなる!日本のエネルギー基本計画に建設的な声をあげよう

安くなった太陽光・風力・蓄電池を中心にしてこそ電力は安くなる!日本のエネルギー基本計画に建設的な声をあげよう


  皆さんは、2040年に向けた日本のエネルギー基本計画が今年度中に決まろうとしていることをご存知でしょうか?関係する審議会の議論は、“自然エネルギーなんて日本は無理だから、原子力しかない”というトーンになっています。本当なのでしょうか? 

持続可能な美味しさへの挑戦 人と自然が響きあう社会へ

持続可能な美味しさへの挑戦 人と自然が響きあう社会へ


 「水と生きる」。このメッセージは多くの人が耳にしたことがあるだろう。飲料メーカーであるサントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)は、「美味しさを」私たち消費者に提供し続けられるよう、持続可能な社会や自然環境の取り組みを精力的に進めている。「水」を通じて社会を見てきたサントリーが取り組むことや、目指す社会の姿について、サステナビリティ経営推進本部 西脇 義記さんに伺った。

世界の消費者のサステナブル意識を紐解く~ジェトロ消費者座談会~(1)プラスチックへの消費者意識

世界の消費者のサステナブル意識を紐解く~ジェトロ消費者座談会~(1)プラスチックへの消費者意識


 世界的に脱炭素化の潮流が加速する中、企業のみならず消費者レベルでも環境配慮やサステナビリティへの意識は高まっています。米国のシンクタンク、ピューリサーチセンターが2021年9月に発表した調査によると、日本を含む17の先進国・地域の約2,600人のうち、72%が「世界的な気候変動が自身の人生を傷つける不安がある」と答えました。加えて、80%が「世界的な気候変動による影響を減らすために自身の生活や仕事を変える意思がある」と答えています。他方、サステナブルな消費行動を実際に行う際には、コスト、情報不足、サステナブルな製品・サービスへのアクセスなど、様々な課題があります。

海外のボランタリークレジットの活用事情

海外のボランタリークレジットの活用事情

スコープ1におけるクレジット利用について

 現時点でGHGプロトコルに沿った炭素会計ベースで、スコープ1の排出の数字を減らすことが可能な外部由来の環境クレジットは存在しません。バイオガス証書は現在行われているGHGプロトコルの改訂作業によって、今後再エネ証書のように属性証書として使用可能になるのかの判断が待たれるエリアです。